「それは素晴らしく不可思議な日々」
 
3月4日
熊本某所、尚敬高校前
バスを降りると、そこには一人の女性が立っていた。
「ようこそ、熊本へ、貴方が若宮康光さんですか?。」
「ええ、そうですが貴方は?。」
「ああ、すみません。挨拶がまだでしたね。私は芳野春香。ここで貴方がたに国語を
教える予定です。熊本は慣れましたか?」
「ええ、まあ。」俺は苦笑した。
「まあ、慣れると言っても毎日のように幻獣が現れますから関係無いですけどね。」
そう言うと芳野は薄く笑った。
「では、校舎を案内します。付いてきてくださいね。」
 
 
 
それから、20分ぐらい長々と説明を受けた。まあスカウト一本槍で食ってきた自分
には恐ろしく関係なかったが・・。
教室に着くとちょうどHRが始まる時間になった。
アサルトライフルを担いだ女性が開口一番にこう言った。
「オッス、おら本田。よろしくな!!。」
「・・・・・・・。」
さすがの俺もちょっと引いた。どうやらみんな同じのようだ。すると・・・。
ダダダーーーーー!!。
アサルトライフルの全力射撃のお返しが来た。どうやらお気に召さなかったらしい。
「笑え!。」
「あははは・・・」みんな乾いた笑い。
「元気が無い!!。」
「あっははははは!!」みんなヤケクソになった。とりあえずここは俺も笑っておいた。
撃たれたくはないのでね。
それから程なくして、自己紹介が始まった。まあお約束のようなものだ。どうせ明日の
今ごろここに座っていられるとは限らないしな。
みんなが着々と自己紹介を終わらせて行き、自分の番になった。
「若宮康光十翼長であります。戦車随伴兵を担当します。よろしく。」
そう言って終わらせると、凄く高飛車な女がいる事に気がついた。
「舞だ。芝村をやっている。」
と来たもんだ。俺的にはこんな女は好かんのだがどうも心に引っかかってしまった。
それから授業が始まり、俺の命を賭けた生活はこうして幕を開けた・・・。
 
 
 
無事授業も終わり、仕事時間となった。俺はスカウトなのでもっぱら仕事といえば
体を鍛える事ぐらいなものなので、随分暇なものだ。まあ頭を使う作業は基本的に好かん
ので構わんが・・・、ちょっとつまらんな。
そうして仕事時間も終わり、ふと装備のことが気になりハンガーの方へ行ってみた。
「とりあえずはサブマシンガンとアサルトライフルで十分か・・。」
装備をし終えてふと辺りを見まわすとあの芝村がまだ作業しているではないか。
私や来須のような体力のある連中ならともかく、仮にも奴は女性だ。相当無理をしてるのではないのか。しかも今日は初日だというのに・・・・。
「よう、熱心だな、まだやってるのか。」
何故か俺は気になって話し掛けてしまった。
「ふむ、それが勤めと言うものだからな。」
「でも無理はすんなよ。それでぶっ倒れたら整備どころの話じゃないからな。」
「分かっている。もうしばらくしたら上がる。だから気にするでない。」
「ああ、じゃあな。」
俺はそう言ってその場を離れた。まだ気になったが・・・。
 
 
3月5日 晴れ
「さあ、今日も頑張るか!!。」
俺は勢いつけて教室まで走った。
すると校舎裏でなにやら物音がするではないか。
「なんだ?。一体。」
気になった俺は行ってみる事にした。すると・・・
芝村「・・・・・。」
ブータ「にゃあん?。」
何故かブータ(ああ、あのデカ猫のことか)と芝村が見合っていた。
「抱いたらどうだ、そいつも困ってるぞ。」
俺がそう言うと、芝村は凄く慌てた様子で
「なななななな、何を変なことを、しかもいつからそこにいた!。」
俺は逃げ去ろうとするブータを捕まえて、芝村に与えてみた。
ブータは凄く嫌がったがここは面白そうだったので協力させた。すまんブータ。
「はい。」
「なな、触るだと・・、くっ。私は私は・・・。」
芝村は凄く悩んでいたが決心したらしく思いきりブータにしがみついた。
「ニャアア!!」ブータは逃げ出した。まあ当然か・・。
「ふっ、これも呪われた我らの血筋のせいだろう・・・。」
芝村は凄く残念そうだった。なあんだこいつも普通の人間じゃないか。俺はそう感じた。
そして、もっとこいつのことが気になってしまった。これは・・どういうことだ・・。
 
 
その二日後我々の実戦投入の日が決まった。
みんな初陣ということで重い雰囲気になっていた。約一名を除いて・・。
それはかの芝村の末姫だった。
彼女は早く戦争に参加し、この戦争を終わらせるのだという・・。まあいつもの俺なら
また芝村の戯言かと思ったが何故かその事を聞いた時、心がぽっかり穴が開いたような
感覚を覚えた・・。何故この女はそこまでして強気でいられるんだ。怖くないのか。
下手をすればお前は死ぬかもしれないのに・・・。そんなことを考えていると無性にこいつの背中は誰が守ってやれるのか、心配になった。
「この小隊の中では俺か来須しか生身でも守れる奴がいない・・・。」
そう感じたとき、こいつの背中を絶対守ってやりたくなった。何故だかわからない・・。
でもこれだけは言える。多分俺はこいつのことが好きになってるのだろうと。
 
 
初陣の前日、俺は芝村に告白した。今思えば早まったことかもしれない。
でもこの気持ちを初陣で俺かあいつが死ぬ前に伝えておきたかったんだ・・・。
「不肖若宮康光、貴方に惚れました!!。付き合って下さい!。」
「ば、馬鹿者。もっと言葉を選べ・・は、恥ずかしいではないか・・。」
結局こんな会話にしかならなかった。でも気持ちは痛いほど伝わっただろ?。
 
 
そして初陣の日、俺達は出撃のサイレンと共に動きだした。
絶対今日は生きて帰る。俺の為にも、この小隊の為にも、そして・・
なによりあいつの為に、あいつを守るために俺は戦う。
 
 
 
戦果は上々、そして俺もあいつも生きて帰れた。今度の日曜日デートに誘おうか・・。
 
 
                 終了 
 
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後書き:ふうう、結構すいすい書けたなこれ。
やっぱ若宮が大好きなのかしら、自分。ふむう、どちらかというと私は
速水&舞より、若宮&舞派なのかしらねえ。しばらくSSはこっちで行こうかな。
というか、舞姫だけで十分食える私(おいっ)。
これはスカ姫同盟参加記念ってことで贈りつけようかな。もちろん返品不可(笑)。
途中強引ですが、まあそれだけ仲が進展してたと思ってください。