「それは不可解な一日」
 
4月1日、巷ではエイプリルフールの日。正直者がバカを見る日とも言う
もちろん、5121小隊の面々もご多分に漏れずのご様子。
 
「くそっ、足が動けるならどんなに楽か・・・。」
狩谷夏樹はたとえこんな日でもいつもと変わらず、己の足を恨んでいた。
そう、こんな日なんだから誰かが笑わせてあげればいいのに・・・。
そこへ遠坂がやって来た。
「何か僕に用かい?。」
「ええ、今日は貴方に素晴らしい物を持ってきたんですが、受け取ってもらえますか?。」「なんだい?、それは。」
「えっとこれなんですが」
そう言うと遠坂は一本の瓶をくれた。
「これは、我が遠坂家に伝わる魔法の薬でしてね。飲んだ人の苦しみを1つだけ
除いてくれるんです。」
「へえ、今日が4月の1日だからそんな嘘を言ってるんじゃないだろうね。」
「いえいえ、これは私からのささやかな贈り物です。お気になさらず。」
「そうかい?。じゃあ貰っとくよ。ありがとう。」
「いえ大したことではありません。では私はこれで。」
そう言うと 遠坂はハンガーへ歩いていった。
 
 
 
「じゃあ試してみようか。」
狩谷は例の薬を飲んだ。
「では早速お願いをしてみよう。足を自由にしたい!!」
すると、不思議なことに彼の足がひとりでに動き始めたではないか。
「これはどういうことだ・・。うわっ」
狩谷は自分の足に引きずられるようにして駆け出していた。
ちょうどそのころ、正面グランドでは若宮と来須が仕事をしていた。
「来須ーー!、ちょっと休憩しよう・・」
若宮がそういい終わる前に何かがグランドを物凄い速度で走っていくのが見えた。
「なんだ?ありゃ。新井木か?。」
「・・・いくらなんでもそれはありえん・・・。」
「そうだよな。じゃああれは何だったのかな・・。まあいいか!!」
 
 
「誰か止めてくれーーーーー!!!。」
狩谷の悲痛な叫びは結局彼らの耳に届くことは無かった。
仕事時間も終わり、ハンガーから出てきた遠坂は狩谷のとんでもない様子を見てこう言った。
「ふむ、ちょっとダチョウの羽を入れすぎましたか・・失敗失敗。まああの薬は一日しか
持たないし大丈夫です。良いリハビリになるでしょう・・。」
そうじゃないだろ遠坂さん!!。
その後5時間程して、狩谷は保護された。彼を止めるのに士魂号まで駆り出されたことは
言うまでも無い・・・。
 
               終了
 
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後書き:いかがだったでしょうか?。
今回は狩谷君の夢である「彼の足が自由に動く」を実現してあげました。
言葉の意味違いでとんでもない結果を生みましたが・・・。
記録ではその日の彼の移動速度は新井木さんの2倍以上だったとかそうでないとか。