「愛すべき貴女へ」
 
 時は2001年4月30日。
そう、それは幻獣との戦争が竜の消滅によるループの開放という形で終結を迎えてからちょうど2年後のこと・・。
 
 
 かの芝村の末姫である、芝村舞嬢が愛すべきカダヤ、速水厚志と共に絢爛舞踏章を受賞し、世界を開放してから2年後、彼女は晴れて17歳の誕生日を迎えることとなった。
今日はそんな彼女を祝う誕生日パーティーの日だ。
 
 
 
「舞、お誕生日おめでとう!!。」
これは速水。
「おめでとうなのよ、まいちゃん!!。」
これはののみ。
「おめでとうございます。芝村さん!!。」
これは壬生屋。
「おめでとう、芝村!!。」
これは若宮。
今日はみんな舞の為に彼女の家に集合している。
 
「ふむ、そなたたちの好意、感謝する。礼をゆうぞ。」
舞は凄く照れた様子で、しかしいつもの調子で振舞おうとする為にギクシャクしているようだ。そこがまたいいのだけれど・・。
 
 
 
「まいちゃん、みんなでケーキ作ってきたのー!!。食べて食べてーー!!。」
「待って、ののみちゃん。今ロウソク立てるから・・。よし出来た。」
「よし、じゃあ暗くするぞ。」
「さあ舞、一息で消してね。」
速水にそう言われた舞は偉く緊張した様子で答えた。
「で、ではい、行くぞ!!。」
舞は慎重にロウソクを吹き消した。どうやら無事に全部消えたようだ。
明かりを灯したとき、ケーキの上に大きな字でこう書かれていた。
「まいちゃん、おたんじょうびおめでとうなのよ。」
そうひらがなで書かれていた。さぞかしののみが書いたに違いなかった。
舞はそれを見た瞬間とても嬉しい気持ちと、凄く悲しい気持ちがごちゃまぜになったような、そんな気分になった。
「砂糖もまだ十分に得られる世の中ではないのに・・。私の為に・・。」
舞は涙を流した。
その様子を見て不思議に思ったのかののみはこう言った。
「まいちゃん、何で泣いてるの?。今日は楽しい日でしょ?。泣いたらめーよ。」
「ふふ、すまぬ。ちょっと感動してしまったのでな。ありがとう、ののみ。」
舞にそう言われたののみは嬉しそうに舌を出して笑った。
「さあまいちゃん。一杯食べてね今日はお祭りなのよ、タカちゃんがそう言ってたの。」
「ふふ、そうだな。」
そうして楽しい時間は過ぎていった。
 
 
 

 
 
 
 
数時間後、お開きにしようかということで壬生屋と若宮は帰っていった。
ののみは遊び疲れたのか、今は舞の膝の上で気持ち良さそうに眠っている。
その様子を速水はぼんやりと眺めていた。すると・・。
「厚志。」
「何?、舞。」
「そ、その今日は有難う、もう一度礼を言う。」
「ふふ、何言ってるのさ。僕は君のカダヤだし、それに・・。」
「それに?。それに何だ?。」
「舞は僕のとてもとても大切な人だからね。君を誰よりも愛してる・・。」
「厚志・・・。」
舞はまるで赤提灯のように一気に顔を赤くした。
「ふふ、ほんと君は可愛いね。」
その後、二人は軽いキスをした。とっても短く、とっても意味のあるキスを・・。
 
 
 
「そうだ、君に渡すものがあったんだ。はい、これ。」
「なんだ一体?。」
「ふふ、開けてごらんよ。」
舞は言われるままに包みを開けてみた。するとそこには・・。
「・・・・・。」
舞は包みを開けたとたん硬直した。それというのも中には・・。
「可愛いでしょ、それ。僕が作ったんだ。名前はねえ、マイっていうんだ。」
その中身は大きなネコさんのぬいぐるみだった。しかも肉球がとてもリアルに作られている。
「これでネコに触る訓練をしようよ。もちろん一緒にね。」
「・・有難う・・厚志・・・。」
 
 
その後、馬鹿でかいぬいぐるみを相手に苦悩する舞が目撃されることとなったのは言うまでも無い・・・・。
 

後書き:このSSは全ての舞姫ラバーへ、そして愛すべき女性、芝村舞嬢の誕生日プレゼントとして捧げる・・・。
 
舞、芝村舞、愛すべき貴女へ、我と我々はそなたの誕生日を心よりお祝いする。
そしてこの愛すべき貴女を生み出してくれたアルファシステム様へ厚く感謝の念を送りたい。
 
なにより、この企画を提案してくださった御剣大和様へこのSSをば進呈いたす。

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